いつか猫を飼いたい。
それは、わりと昔から変わらない夢だった。
しかし当時は、ペット禁止の賃貸暮らし。
そして私は、なぜか「そのうち結婚する自分」を当然のように想定していた。
――今思えば、どこから来たその自信。
「どうせ結婚して引っ越すんだし、今ペット可に移るのは二度手間だよね」
そんな合理的っぽい言い訳を盾に、猫のいない生活を選び続けた。
そして数年後。
結婚の“け”の字も見えないまま、私は35歳になっていた。
おかしい。
計画では、とっくに新居で猫と夫と優雅に暮らしているはずだった。
しかし夫が、なぜか、一向に、実装されない。
バグかもしれない。
婚活もそれなりに頑張った。
頑張ったが、結果は「それなり」止まりだった。
いや、正確には「それなり未満」かもしれないが、そこは深く考えないことにする。
そしてある日、私は悟った。
「あ、これ待ってても来ないやつだ」
未来の自分に丸投げしていた幸せは、どうやら未配達のままらしい。
――ならば。
もういい、猫を飼おう。
夫は来ないが、猫は自分で迎えに行ける。
こうして私は、ようやく決断した。
結婚は一旦保留。
これからは猫と生きていく。
少なくとも猫は、既読スルーもしないし、突然フェードアウトもしない。
たぶん。
